市役所職員から大学院へ。「もっと小さいうちに」という思いで小児科のカウンセラーになった理由を聞きました。
心理士を目指した「きっかけ」
もともとは市役所の職員として、地域の児童クラブの担当をしていました。ちょうど10年ほど前、「発達障害」という言葉が世に出始めた頃で、現場で自分自身がとても困ったんです。そのときに発達支援センターやお医者さんにお世話になる中で、「自分でも子どもの発達や心について知りたい」と思うようになり、大学院に進んだのがきっかけです。
その後、大学の学生相談室に就職したのですが、そこで「もっと小さい頃に対応できていたら、もっと楽に過ごせていたのに」と感じるお子さんに多く出会いました。だから、小さいうちから困っている子どもたちのお話を聞ける場所で働きたいと思うようになって。
そんなときに、小児科でカウンセラーを募集しているクリニックを見つけたんです。小児科で心理士を募集しているところは本当に珍しくて、それ自体がご縁だと感じました。また、院長先生がホームページに書かれていた「子どもたちに寄り添う」「ご家族の笑顔を守る」という理念に深く共感したことも、ここを選んだ大きな理由です。
入社前の「不安」と、それを乗り越えた「決め手」
不安だったこと
専門職なので、自分の知識がどこまで通用するか、というところはとても不安でした。困っている人たちが来てくださる場所なので、「足を引っ張ることだけはしたくない」という気持ちが強くありました。
また、心の問題はお薬が必要な症状や緊急対応が必要な方もいらっしゃいます。カウンセリング中に「この方はすぐに精神科につながなければ」と判断しなければならない場面もあるので、そのアセスメントや危機管理に対して、当時は本当に怖さがありました。特に子どもの場合、診断ということ自体が親御さんに大きな負担をかける場合もあるので、そこは慎重に進めなければという緊張感は今でもあります。
それでもやってみようと思った決め手
小児科ならではの幅広さが、決め手の一つでした。精神症状が重い子だけでなく、いろいろなお子さんのお話を聞ける環境です。実際に来てくれたお子さんやお母さんが、次の受診の時に少し笑顔になっていたり、「調子が良くなりました」とおっしゃってくれる場面を経験してから、「ここなら続けていける」と思えました。
それから、小児科という環境ならではの強みも感じています。先生が体の面をしっかり診てくださるので、心身の両面からアプローチできます。「心の相談にはちょっと来にくい」というお子さんでも、小児科という入口なら通院しやすい。その循環の中で、自然に心の相談へとつなげていけることが、やりがいにもなっています。
また、医師・看護師・カウンセラーの連携が機能していることも大きかったです。看護師さんたちが丁寧に声がけしてくださる雰囲気があって、チームとして動ける環境だと感じています。
実際に働いてみて「感じていること」
以前は大学の学生相談室で青年期の学生さんたちを担当していたので、発達障害にうつや精神症状が重なった、いわゆる「こじらせてしまった状態」のケースが多かったんです。でも今は小児科なので、まだサポートしやすい年齢の段階でお子さんが来てくれます。
お母さんにお話をして少しお願いするだけで子どもの様子が変わったり、医師が体を診ながら「心の方はカウンセラーに相談してみて」という流れが自然にできたりする。その連携がうまくいった瞬間は、「ここでやっていてよかった」と感じます。
もちろん、発達の特性がある子は「カラッと治りました」というケースは多くないんです。でも、「少し過ごしやすくなりました」「ちょっと楽に生活できるようになりました」と言ってくれる声が、何よりも嬉しいです。
それから、ここに来て気づいたことがあります。お母さんたちは、実はほとんどの答えを自分の中にすでに持っているんです。「こうやって対応しているんですけど困っていて」という話の中に、すでにヒントがある。それを一緒に整理して、少し交通整理してあげるだけで、うまくいくことが多い。その実感がこの仕事の醍醐味だと思っています。
自分の中に持っているんです。
私たちは、それを一緒に整理するだけでいい。」








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